肉、海鮮、お酒 サミット目前の広島でグルメ三昧
- 2023/3/1
- グルメ
5月19日から始まる今度のサミットの開催地は広島。以前の伊勢志摩の時もそうだったが、サミット開催が決まるとなぜかその土地の観光客が増える傾向があるようだ。やはり地名が世界的に知られるからだろうか。そして受け入れる地元側も、気合と期待が入り混じったかのような熱量で訪れた人たちを迎え入れてくれる。もちろん海外の要人が集結する開催期間中は厳重な警護体制で動けないため、行くなら開催前後がおすすめだ。そこで今回は、サミットを100日後に控えた広島へ向かい、要人に振る舞われるであろう広島グルメをたっぷりと堪能する1泊2日の弾丸ツアーを行うことに。ただ、あまりにもうまいものが多い広島でやみくもに食べまくっても効率がよくないため、次の3つに的を絞って食べ歩くことに。
①肉(比婆牛)
②海鮮(牡蠣など)
③酒(日本酒)
さて、わずかな滞在時間ではあるが、自分に課したこれらのノルマを達成できるか、乞うご期待!
桜花の郷 ラ・フォーレ庄原で比婆牛のステーキを食す
福山駅から車でおよそ1時間。やってきたのは中国地方のほぼ真ん中に位置する広島県庄原市の「桜花の郷 ラ・フォーレ庄原」。こちらはお風呂が人気の「かんぽの郷庄原」として古くから親しまれてきた宿だが、昨年4月に名称も新たにリニューアルオープン。これまで以上に快適な宿へと生まれ変わったと評判の宿泊施設だ。といっても、今回はここに泊まるわけではない。では、何をしに来たのかというと「比婆牛を食べに」来たのだ。
比婆(ひば)牛とは、かつて日本一の称号を取ったこともある超高級和牛。そのルーツは江戸時代にまで遡る。優秀な牛を作ろうと考えた畜産家の岩倉六右衛門による計画的交配で作り出された、全国の和牛4大ルーツのひとつである岩倉蔓(いわくらづる)を、この比婆庄原地域で代々改良し続けた集大成が「比婆牛」なのだ。
比婆牛の定義
以下の基準を満たす和牛肉を、庄原市が「比婆牛」と認証する。
①その牛の父、母の父、母の母の父のいずれかが広島県種雄牛であること。
②庄原市内で生まれ、広島県内で最終最長期間肥育されたこと。
③肉質等級が3等級以上であること。
④市が指定した県内のと畜場でと畜された黒毛和種の去勢牛または未経産牛であること。
⑤庄原市長が発行した「比婆牛素牛認定書」を有していること。
和牛の質の基準のひとつ指標に「脂の融点の低さ」がある。一般的な和牛はおよそ25℃だが、比婆牛はそれよりも低く、室温で溶け出す。また甘みと溶けるような口当たりに直結するオレイン酸を豊富に含んでいるため、冷製料理にも最適だ。今回いただいたのはステーキだったが、湯気が立ち込める熱々のものとは一線を画す、どちらかというと人肌よりも少々熱めのもの。それでも通常なら温度が下がったステーキにはありがちな、溶けた脂がゼリー状になったものは一切なく、温度が低めだからこそ味わえる肉の旨みが堪能できた。
桜花の郷 ラ・フォーレ庄原
広島県庄原市新庄町5281-1
TEL 0824-73-1800
かきの館 寺岩で焼き牡蠣を堪能
続いて訪れたのは、“やはり広島といえば牡蠣でしょ”ということで廿日市大野地域の「かきの館 寺岩」。広島県内でも有数の牡蠣の生産地である大野地域牡蠣の生産、直売、そして浜焼きや牡蠣料理を提供する同店では、我々東京の人間が通常目にするよりもふたまわりは大きい牡蠣が食べられる。
これらの牡蠣は、宮島と大野に挟まれた、波が穏やかで栄養分が豊富な海域「大野瀬戸」にあるかき筏(いかだ)で育てられたもの。お店では毎朝かき筏から水揚げしたばかりの新鮮な牡蠣を提供しているそうだ。
かきの館 寺岩
広島県廿日市市物見東1-1-34
TEL 0829-50-5517
夜の流川地区で地酒三昧
広島市中心部のホテルにチェックインしたのは、もう日も落ち始めた夕方5時。荷物を置いて、ホッとひと息ついてから夜の街に繰り出すも、今回はキレイなお姉さんが親切にしてくれるようなお店は一切なし。そこはやっぱり「舌が肥える」ような美味しいものを取り上げる舌肥の取材だし、お酒も海鮮も旨い広島まで来たのだから、それらがたっぷり堪能できるお店をチョイスすることに。
向かったのは、多くの飲食店がひしめき合う広島市最大の歓楽街・流川地区の居酒屋「かめ福」。こちらはお酒から料理まで、とにかく広島の地物にこだわったお店。ちょうどこの日は広島サミットの100日前で、サミット2カ月前の3月19日から5月21日まで開催される「広島県産食材フェア」のプレイベントが行われ、フェア期間中に提供されるメニューが食べられるという。そこで、フェア限定のコースメニューを注文することに。
広島の地物海鮮をふんだんに使ったコースメニュー(写真は3人前)。このコースでは、各メニューごとにオススメの地酒が用意されていて、あれこれ悩まなくても抜群のマリアージュが体験できる。舌が肥えた飲兵衛にはたまらない!
さすが広島の地魚を知り尽くしたお店が、飲み慣れた地酒からセレクトしただけあって、どれも抜群の相性。サミット開催前に広島を訪れる機会があれば、迷わずこちらでこのコースを注文してはいかがだろう。
かめ福
広島県広島市中区新天地1-9 新天地レジャービル2F
TEL 082-543-2222
「かめ福」でお腹がいっぱいになったけど、せっかくの広島の夜、このままホテルに戻るのはもったいない。もう一軒くらい行きたいなと思い、しばし流川地区をブラブラと歩いてみることに。でもこちらは今日東京から来たばかりのよそ者。どこに入ればいいのか、まったく見当がつかない。どうしようかな、と考えていると向かいから男性ふたりに女性3人の、ほろ酔い気味の会社員っぽい5人連れが歩いてきた。一番年配の上司らしき男性は出来上がってるっぽいが、部下っぽい4人はそうでもなさそう。カップルや男性ふたり組だと絡まれるかもしれないが、この人たちは大丈夫と直感して声をかけオススメのお店を聞いてみると、このあたりで地物がおいしくて、ひとりでも入れるお店を親切に教えてくれた。
雑草庵 安芸で広島県民の推しグルメ「コウネ」に舌鼓
紹介されたのは、ホテルからすぐの場所に位置する和食処「雑草庵 安芸」。こちらも瀬戸内海で獲れた地魚が美味しいお店だが、実はここでどうしても食べてみたいメニューが。それは「コウネ」。広島取材が決まってからの一週間、比婆牛や牡蠣など広島グルメについて事前調査する中で見かけた「コウネ」は、牛肉の肩バラ肉のこと。牛1頭から2kgほどしか取れない希少部位で、県外では「ブリスケ」や「前バラ」、「肩バラ」と呼ばれているようだ。広島ではこのコウネがスポーツ観戦時や居酒屋で日常的に食べられているそうで、子どもから大人まで人気のグルメなのだとか。とにかく広島の居酒屋では注文すれば普通に出てくると聞いたので、それなら食べてみたいと思っていたのだ。
これが今回初めて食べたコウネ。食感はコリコリしていて噛みがいがある感じ。ぱっと見は脂っこそうだが、意外とあっさりめで、ワサビをつけて食べると旨い。コラーゲンとゼラチンを豊富に含んでいるので、女性にも人気なのも納得できる。
すでにかなりの量の日本酒を飲んでいたからビールかサワーにしようかとも思ったが、「広島のいい地酒があるよ」と勧められ、またまた日本酒を注文することに。「純米にごり おかゆ」はまるでおかゆのようなお米感の強い濃厚なにごり酒。見た目から最初は甘酒のような味を想像していたが、まったく甘くなくドライな味わい。
こちらは山田錦を改良した広島の酒米・千本錦を使った「本洲一 無濾過純米酒」。華やかな香りとふくよかな味わいのバランスのとれた味わいが楽しめる。
雑草庵 安芸F
広島県広島市中区新天地1-28 おぺらはうす1F
TEL 082-249-2293
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