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就活の早期化進む、大学3年生の秋にはすでに内定も?新たな制度「オープンカンパニー」参加する学生増加

近年、就活の早期化が著しく進んでいる。これまでの就活というと一般的に、大学3年生の春頃から企業研究や自己分析などが始まり、夏にはインターンシップに参加、そして3月1日のいわゆる「就活解禁日」から新卒採用における広報活動が解禁されるため、説明会やプレエントリーの受付など、就活が本格化すると思われていた。しかし、人口減少と少子化により人材不足となっている日本。学生を採用する企業など、人材の獲得競争が激化しており、就活はさらに早期化しているようだ。
今回、株式会社TimeTreeの社内研究所『TimeTree未来総合研究所』では、全世界登録ユーザー6,000万人を超えるカレンダーシェアアプリ「TimeTree」に登録された100億超の予定データから、就職活動に関連した大学生の予定データを分析。それによると、26年卒の学生(2026年3月に卒業予定の現大学3年生)はすでに4、5月の合同説明会に参加した人が多く、6月~9月には企業理解や交流の新たな場として登場した「オープンカンパニー」に参加する人も多かった。さらに、秋頃にすでに「最終面接」を受けた26年卒の学生は前年の1.5倍と、近年の就活の早期化が顕著に表れる結果となった。

大学3年生の春に合同説明会に参加する人が増加

企業と学生が「出会う場」である合同説明会。26年卒を含めた過去3年間の予定登録状況を比較したところ、26年卒は25年卒・24年卒と比べてより早い時期から説明会に参加していることがわかった。詳細をみていくと、4月中旬から5月にかけての26年卒の合同説明会の予定登録数は25年卒の2.4倍以上あり、26年卒の学生は大学3年生に進学してすぐに就職活動を意識して説明会などに積極的に参加しているようだった。逆に8月以降の登録数は低下し始めており、過去2年と比較すると早めにピークアウトしているようだ。これらのことから、26年卒の学生は大学3年生になった直後から就職活動に関心を持ち就職活動を進めている学生が多く、早い段階から積極的に企業との接点を増やしている様子がうかがえる。

新たな制度「オープンカンパニー」、26年卒から増加傾向

2023年度にインターンシップ制度が変更され、新たな制度として登場した「オープンカンパニー」。「オープンカンパニー」とは、企業・業界・職種などに対する理解を促進するための活動で、全学年・全学部を対象に実施される。そのため、就活生だけでなく、大学1・2年生も参加できる点が従来のインターンシップとは異なる。「オープンカンパニー」は企業説明会や交流会を通じて情報収集や理解を深めるものであり、実際の業務を体験することで企業理解を深めるのがインターンシップと定義されている。
「オープンカンパニー」は25年卒から導入されたが、25年卒の予定登録数は全体的に少ない傾向だった。一方、26年卒では6月頃から登録数が増え始め、9月をピークにさらに伸びていることが分かった。このことから、「オープンカンパニー」が企業理解や交流の新たな場として認識され、徐々に定着し始めていることがうかがえる。

すでに内定も?大学3年生の秋頃から「最終面接」を受ける人は年々増加傾向

学生向けの合同説明会などが開催され始める10月以降に、「最終選考」や「最終面接」といったワードが含まれる予定が、登録予定1万件あたり何件登録されているかを調査。その結果、各年の10月から2月までの予定出現数の総数は26年卒、25年卒、24年卒の順に多くなっており、26年卒は25年卒の約1.5倍の予定が登録されていた。
これらのことから、今年はさらに就活生の活動が早期化していることが推測できる。就活解禁日前の早い段階で最終選考を経験する学生が増えていることは、企業・学生双方が注目すべきだろう。

■分析データについて
・2022年4月1日~2025年3月31日の期間に、大学3年生だったユーザーによって作成されたデータを対象として分析(24年卒、25年卒、26年卒のデータを分析)
・分析に使用したデータは、匿名性を保つために統計的に処理

TimeTree未来総研所長 深川 泰斗氏コメント
就職活動が本格化する時期を迎えました。就職活動中の学生の皆さんは、業界・企業研究や自己分析、合同説明会への参加など、日々努力を重ねていることと思います。
今回のテーマは「就職活動」。本レポートの分析から、26年卒の就職活動では『早期化』の傾向が一段と加速していることが明らかになりました。合同説明会の参加時期が前倒しとなり、最終面接の予定登録数も前年と比べ早い時期に大幅に増加するなど、企業と学生の接点がこれまで以上に早期に形成されるようになっています。また、新たに登場した「オープンカンパニー」の普及も進んでおり、学生がより早い段階から企業理解を深める機会が増えていることが分かります。これは、従来のインターンシップや説明会とは異なる形で、企業との接点が多様化していることを示唆しているのではないでしょうか。
今後、人手不足が不可逆的に深刻化していく中、企業はより早期に学生との接点を持ち、適切な情報提供や関係構築を進めることが求められるでしょう。同時に、学生にとっても、早期から多様な企業と関わる機会が増える一方で、自身のキャリアビジョンを明確にし、戦略的に就職活動を進めることが、これまで以上に重要になると考えられます。

今回の調査から、近年就活は早期化の一途を辿っていることがわかった。就活解禁日を待たずして、大学3年生の秋にはすでに「最終面接」を受ける学生も多いという実情には驚いた。人手不足が深刻となっている中、企業も早期からの採用活動に力を入れている。それに対応するため、学生も早くから企業と接点を持つことを求め、早期内定を目指す人が増えているのだろう。学業との両立の難しさや焦りもあると思うが、まずはしっかりと自分の目指すキャリアプランを考えることが大切ではないだろうか。その上で、しっかりと具体的なスケジュールを立てて進めいくことが早期化する就活の成功のカギになるだろう。

■TimeTree 未来総研 Webサイト
https://timetreeapp.com/intl/ja/future-research-institute

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