秋の乾燥肌対策 美肌を守るために知っておきたいポイントとは?
- 2024/9/28
- ライフスタイル
季節が夏から秋へ移り変わるこの時季は、肌の乾燥や荒れに悩む人が増える時季でもある。秋は、夏に受けた紫外線のダメージが表れやすい季節で、さらに冬に向かって乾燥した空気が肌のコンディションを悪化させるのだ。だが実は、乾燥肌は冬だけでなく、一年中注意が必要な問題でもある。
特に夏は、強い紫外線だけでなく、エアコンによる室内の乾燥も大きな要因となる。汗をかくことで潤っているように感じるが、実際には乾燥している場合も多く、肌のベトベト感を嫌って保湿ケアを怠ってしまいがちだ。そして、こうして蓄積されたダメージが秋に乾燥肌として現れるというわけだ。
乾燥肌はシミやニキビ、シワなどの原因にもなり、美肌にとって大敵。保湿やスキンケアは乾燥対策としてもちろん重要だが、実は体内の働きを活発にさせるインナーケアがスキンケアを効果的に行うために重要になるのだそう。そこで今回は、ココメディカルクリニックの泉先生に、乾燥肌の原因や対策、そして体内外からの最新のケア方法や美肌に必要な栄養素について話を聞いた。
秋の乾燥肌の原因は夏に浴びた紫外線やエアコンによるダメージ
秋に多くの人が経験する乾燥肌は、夏の紫外線ダメージとエアコンによる乾燥、さらに気温や湿度など環境の変化によって、肌本来の力が弱まることによって引き起こされる。そのため毎年秋に肌の乾燥が起こりやすい人は、夏の時点から肌をいたわり、適切なケアで肌を健やかに育てることが肝要だ。
乾燥肌のメカニズム
乾燥肌とは、表皮の角質層の水分保持機能が低下し、皮膚の水分の減少が起こっている状態のこと。これをケアせずにそのまま放っていると、細菌や汚れ、紫外線や乾燥といった外的要因から身体の中を守っている皮膚のバリア機能を損なう恐れも。またバリア機能は外側からだけでなく、身体の内部から水分などを外へ出さないようにする役割もあるが、この機能が低下すると皮脂分泌量や角質層の細胞間脂質であるセラミドなどの天然保湿因子も低下し、外部からの刺激で赤みやかゆみなどの症状が出やすくなって洗顔でヒリヒリしたり、化粧品かぶれを引き起こすこととなる。
秋の乾燥肌の原因
①夏に受けた強い紫外線のダメージ
強い日差しに含まれる紫外線を夏の間に浴び続けた秋の肌は、皮膚のバリア機能が低下しやすい状態に。そこに一年中降り注ぐ「UV-A波」と「UV-B波」の2種類の紫外線が悪影響を及ぼして、感想や肌荒れ、またシミ・シワ・くすみ・たるみなどのエイジングサインまでをも引き起こす。さらに紫外線は細胞が一定の周期で生まれ変わる仕組み「ターンオーバー」を乱す原因でもあり、これが乱れるとバリア機能が低下して乾燥しやすくなる。
②空気の乾燥
秋は、冬に向かうにつれて外気や室内の湿度が低下しやすくなる時季。湿度が下がって空気が乾燥すると、肌の水分の蒸発が進み、乾燥肌を引き起こす。また9月はまだ暑い日が続くため冷房をつけることが多いが、これも乾燥肌の原因に。というのも、室内の空気中の水分を外へ放出し、その際の木加熱を利用して室温を下げたり除湿するのが冷房の仕組みで、使えば使うほど部屋のうるおいが奪われ、結果的に肌は乾燥するのだ。さらにエアコンの使用は、肌内部が乾燥する「インナードライ」を引き起こしていることもあるため注意が必要だ。
乾燥肌の対策
乾燥肌対策には、肌の表面にあるバリア機能を向上させるのが重要なポイント。これが正常に働いていれば、肌の水分を保って蒸散を防いでくれるし、乾燥を防いでアレルゲンなどの侵入や外部刺激から肌を守ることができる。肌のバリア機能を保守するには、保湿や正しいスキンケア、過度にこすったり触ったりしないなど外部刺激を避けるのはもちろん、睡眠や栄養バランスのすぐれた食事を続けよう。そうすればターンオーバーが整い、肌が乾燥しにくくなる。健やかな肌に欠かせない栄養を毎日摂取することで、肌を内側からケアしよう。
乾燥から肌を守るために⽋かせないビタミンB群
乾燥肌対策には、スキンケアだけでなく、体の内側からもケアする「インナーケア」が重要だ。特に、バランスの良い食事や適度な運動、十分な睡眠が、肌の健康に大きく寄与してくれる。中でも食事から摂る栄養素は重要で、偏りなく栄養を摂ることが一番の理想だが、特にB2、B6、ナイアシン(B3)といったビタミンB群はターンオーバーするために必要な栄養素として欠かせない。
3つの栄養素で乾燥に負けない肌作り
【1】肌のバリア機能を多⽅⾯からサポート「ナイアシン(ビタミンB3)」
■ナイアシンの働き
⽔溶性のビタミン「ナイアシン」はビタミンB群の1種。500種以上の酵素の補酵素として、エネルギー産⽣、糖質、脂質、タンパク質の代謝、肪酸やステロイドホルモンの⽣合成、DNA の修復や合成、アルコールの代謝など様々な機能に関わっている。動物性⾷品中ではニコチンアミド、植物性⾷品中ではニコチン酸として存在し、いずれも⼩腸で吸収される。
■乾燥肌対策に⽋かせない理由
⽪膚の炎症を抑える作⽤があり、ニキビや⾚み、肌の刺激を和らげるために使⽤される。保湿効果にも優れ、セラミドなどの細胞間脂質の産⽣を促し、⾓質層をセラミドが隙間なく満たすことで、紫外線や⼤気中微粒⼦などの外的刺激をはね返すバリア機能が働く。また、肌が⽔分を保つ⼒も⾼まり、乾燥や肌荒れを起こしにくくなるといううれしい効果も。その幅広い効果で化粧品やスキンケア製品などに広く利⽤され、美容界で今注⽬の栄養素だ。
■ナイアシンが摂れる⾷材とおすすめの摂取⽅法
多くの⾷材に含まれるナイアシンだが、特に⿂、レバー、⾁に豊富に含まれる。熱に強い⼀⽅、⽔には溶け出しやすいので、加熱や煮汁ごと⾷べられる調理⽅法がおすすめだ。また、通常の⾷事をしていれば⽋乏症の⼼配はないが、⼆⽇酔いの原因にもなる「アセトアルデヒド」を分解する酵素の補酵素として働くため、アルコールをたくさん飲む⼈には積極的な摂取がおすすめ。
【2】新陳代謝のサイクルを正常に整え、新しい細胞の再⽣を助ける「ビタミンB2」
■ビタミンB2の働き
⽔溶性のビタミン「ビタミンB2」は、糖質、脂質、タンパク質の代謝、エネルギー産⽣に関わる酸化還元酵素の補酵素として働く。糖質の代謝に関わるビタミンB1に対して、ビタミンB2は特に脂質の代謝を助け、⽪膚や粘膜、髪、⽖などの細胞の再⽣に役⽴ち、「発育のビタミン」ともいわれ発育促進に⽋かせない栄養素だ。
■乾燥肌対策に⽋かせない理由
⽪膚や髪、⽖の細胞の再⽣や保護に関係している成分で、加えて脂質代謝を助けるので、過剰な⽪脂分泌を抑制することで⽑⽳の開きやニキビ、肌荒れの予防にも効果的。そのためビタミンB2が不⾜してしまうと、肌のバリア機能が低下し、乾燥が原因の肌トラブルや過剰な⽪脂分泌などを招く可能性がある。
■ビタミンB2が摂れる⾷材とおすすめの摂取⽅法
レバーやうなぎ、⾁、⿂、アーモンドなど幅広い⾷材に豊富に含まれる。のりや乾燥わかめ、⼲しシイタケなど乾物にも多く含まれるが、1⾷あたりに⾷べる量を考慮すると、それほど多くはない。また、⽔溶性のビタミンは酸や熱で分解されやすい栄養素だが、ビタミンB2は⽐較的に強く、調理による損失が少ない栄養素だ。⼀⽅、光やアルカリには分解されやすい性質を持っているので、調理前の⾷材は冷暗所など光が当たらない場所に保管したい。肌のターンオーバーを促す働きを期待する場合には、タンパク質やコラーゲン⽣成を促すビタミンB6と⼀緒に摂るのがおすすめ。⽔溶性のビタミンB2は尿と⼀緒に体外に排出されやすく、体内にとどまりにくい性質なので意識してこまめに補給することが⼤切。エネルギー消費量が多い⼈ほどビタミンB2を必要とするので、スポーツをする⼈は積極的に摂るように⼼がけよう。
【3】タンパク質の分解を助ける「ビタミンB6」
■ビタミンB6の働き
エネルギー代謝の補酵素として重要なビタミンで、特にタンパク質の分解を助けるため、摂取量が多い⼈ほどビタミンB6の必要量も多くなる。免疫機能の正常な働きの維持、⽪膚の抵抗⼒の増進にも必要で、⾚⾎球のヘモグロビンの合成にも⽋かせない。また、肝臓の脂肪蓄積を防ぎ、肝脂肪の予防にも効果を発揮する。
■乾燥肌対策に⽋かせない理由
ビタミンB6の代表的な働きは「タンパク質」「脂質」「炭⽔化物」の代謝。それに加え、⽪脂の分泌をコントロールする役割も担っており、肌の健康には⽋かせない栄養素だ。⽪脂が正常に分泌されると乾燥肌が改善し、ニキビや吹き出物も出来にくくなる。同時に肌のバリア機能も向上するので、冬時季でも調⼦よく過ごすことができる。
■ビタミンB6が摂れる⾷材とおすすめの摂取⽅法
⽜、豚、鶏⾁、レバーやマグロをはじめとした⿂の⾚⾝、ひまわりの種やピーナッツなどの種実類に多く含まれる。動物性⾷品、植物性⾷品にかかわらず、多くの⾷材から摂取することができるが⽔に溶けやすく、酸や光に弱いため、冷凍⾷品や加⼯⾷品で取り⼊れると効果は減少してしまう。刺⾝など、できる限り新鮮な状態で摂取することをおすすめしたい。
秋が旬の⾷材は栄養素が豊富!美肌レシピで肌も体も健康を取り戻そう!
⾷欲の秋は、実は美肌のための季節。なぜなら、秋は野菜や果物から⿂介類まで、旬を迎える美肌のための⾷べ物が豊富だから。そんな⾷べ物をバランスよく摂ることで、乾燥肌などの肌悩みを防いで、美肌をキープすることができるのだ。ここでは、上記で紹介した乾燥肌対策に摂りたい栄養素を含む⾷材を利⽤した旬レシピを、ココメディカルクリニック院⻑の泉さくら先⽣がご紹介。
美容の専⾨家・泉さくら先生が教える旬の⾷材を使⽤した免疫アップメニュー
<さんまのカルパッチョ>
秋の味覚の代表的な⾷材のひとつが、この時期脂がのっていて美味しい「さんま」。
栄養たっぷりのさんまは、健康にとても良いですが、乾燥肌対策で紹介した栄養素「ビタミンB2」・「ビタミンB6」が豊富な美肌⾷材です。美容オイルとして有名なオリーブオイルと⼀緒に和えることで、美肌の相乗効果を感じられるレシピです。さらに、ナイアシンが豊富なカシューナッツやアーモンドを砕いて上からまぶして頂くと、美肌効果に加え、また違った⾷感も楽しめるのでおすすめです。
【材 料】 1⼈分
・さんま(刺⾝⽤)…1尾 ・レタス…1枚 ・⻘ネギ…1本 ・⽟ネギ…1/4本
【ドレッシング】
・醤油…⼤さじ2 ・塩…少々 ・砂糖…⼩さじ1 ・オリーブオイル…お好みで
・柚⼦胡椒 少々
【トッピング】カシューナッツ・アーモンド・・・お好みで
【作り⽅】 調理時間10分
❶⽟ねぎ、⻑ネギは薄切りにし、⽔にさらして、⽔気を切る。レタスは1⼝⼤にちぎり、さんまは⽪、⾻を取り、削ぎ切りにする
❷調味料は全部容器に移し混ぜてドレッシングに、カシューナッツやアーモンドはミキサーや麺棒などで粉砕しておく
❸最後にサンマ、野菜を盛り付けし、ナッツ、オリーブオイル、ドレッシングの順に上からかけて完成︕
ココメディカルクリニック院⻑ 泉さくら⽒
⽇本⽪膚科学会⽪膚科専⾨医
琉球⼤学医学部卒業/東京⼤学医学部附属病院⽪膚科・都内美容⽪膚科・形成外科勤務後、ココメディカルクリニックを開業。⼀般⽪膚科、美容⽪膚科、アレルギー外来、⼥性外来を⾏い、近代⻄洋医療と補完代替医療、伝統医学等を組み合わせて⾏う統合医療を積極的に取り⼊れている。
「めざましテレビ」「林修のレッスン︕今でしょ」「なないろ⽇和」「それって︕︖実際どうなの課」などTV や雑誌に多数出演。
乾燥の季節でも、しっかりと保湿ケアを行い、栄養バランスの取れた食生活を続けることで、潤いのある健康的な肌を保つことができることが今回の記事でわかっていただけたことだろう。乾燥肌で悩む人は、この秋ぜひ取り入れてみてはいかがだろう。