【調査報告】マンション管理人が考える大規模修繕 課題は住民とのコミュニケーションの要改善

よく街で見かけるマンションの大規模修繕。そう、大きなマンションの建物に足場を張りめぐらせ、テントで覆うアレだ。多くの人々が暮らすマンションでは、建物の経年劣化を防ぐために12年周期を目安に大規模修繕が行われているのだそう。だが現在、築古物件の増加や入居者の高齢化などによる積立金の不足や、請負業者の見積が適正なのかといった問題に直面しているマンション管理人が少なくないのだとか。そこで今回、「ピンポイント修繕110番」のサービス(https://kensou110.jp/pinpoint110/)を扱う株式会社建装では、修繕経験のあるマンション管理人を対象に「マンションの大規模修繕実態」に関する調査を実施した。

複数回の大規模修繕工事を経験したマンション管理人は約4割

はじめに、管理しているマンションについて「大規模修繕は何回しましたか?」と質問したところ、『1回(56.5%)』と回答した人が最も多く、次いで『2回(33.0%)』と続いた。12年周期で大規模修繕を行うことが一般的な目安とされている中で、約4割の管理人が大規模修繕を複数回経験していることが明らかになった。

大規模修繕では特に損傷が目立つ外壁やバルコニーの修繕実施が最多

「過去の大規模修繕で特に損傷や修繕が必要だった場所はどこですか(上位3つ)」と質問したところ、『外壁やバルコニー(48.4%)』と回答した人が最も多く、次いで『屋根や防水層(42.9%)』『配管システム(水道や排水)(34.7%)』と続き、約半数が外壁やバルコニー、約4割が屋根や防水層の修繕が必要だったと挙げた。外気にさらされる外部構造の部分や、雨風の影響を受けやすい箇所は損傷が多くなるようだ。

また「過去の大規模修繕での業者はどのように選定しましたか?(単一回答)」と質問したところ、『管理会社の紹介(34.2%)』と回答した人が最も多く、次いで『管理組合の紹介(22.2%)』『住民の推薦に基づく(18.7%)』と続き、約3割が管理会社からの紹介で業者を選定していた。マンション管理のプロである管理会社であれば、修繕の経験も多く信頼できる情報筋として重視されているようだ。

今後の大規模修繕に関する懸念点として挙げられたのは「積立金の調達」「適正な修繕費用かどうか」

「過去の大規模修繕で遭遇した主な問題点は何でしたか?(単一回答)」と質問したところ、『住民とのコミュニケーションが難しい(30.0%)』と回答した人が最も多く、次いで『資金の調達が困難(25.2%)』『修繕業者の質(23.2%)』と続き、約3割が住民とのコミュニケーションの難しさを挙げた。費用の資金調達に関しても回数が増えるにつれて、容易ではないのかもしれない。また管理会社や管理組合からの紹介が多い修繕業者の選定に関して、業者の質に最も問題があると回答した人が2割いる結果となった。

「次回の大規模修繕に向けて、どのような改善が必要だと考えますか?(複数回答可)」という質問には、『住民への情報提供の改善(52.8%)』と回答した人が最も多く、次いで『資金計画の改善(44.6%)』と続いた。半数以上が住民への情報提供の改善を必要と考えていることから、大規模修繕では住民に対する透明性と理解促進が重要であるということだろう。

「今後の大規模修繕に関して懸念点は何ですか?(複数回答可)」と質問したところ、『修繕積立金の調達(39.4%)』と回答した人が最も多く、次いで『適正な修繕費用かどうか(34.2%)』『修繕の進捗管理(32.3%)』と続き、過去の大規模修繕での問題点として挙がった修繕費用に関する懸念点が上位となった。また適切かどうかという観点からも、大規模修繕の事前計画・業者選定・実施まで、工程全体に対して懸念があるようだ。

続いて約4割が懸念点としてあげていた、修繕積立金についてさらに深掘りするため「修繕積立金の支払い状況はどうですか?」と質問したところ、『順調(21.0%)』『やや順調(48.7%)』『あまり順調ではない(27.3%)』『順調ではない(3.0%)』という回答結果になった。順調との回答が多いものの、約3割が順調ではないと考えているようだ。

「修繕が必要な場所をピンポイントで工事が行えるサービスがあれば活用したいと感じますか?」と質問したところ、『活用したい(36.8%)』『やや活用したい(49.9%)』『あまり活用したくない(11.4%)』『活用したくない(1.9%)』という回答結果になり、8割以上が修繕必要箇所をピンポイントで工事できるサービスを活用したいことが明らかになった。

【調査概要】「マンションの大規模修繕」に関する調査
調査期間/2024年5月17日(金)~ 2024年5月18日(土)
調査方法/リンクアンドパートナーズが提供するPRIZMA(https://www.prizma-link.com/press)によるインターネット調査
調査人数/1,012人
調査対象/調査回答時に大規模修繕経験のあるマンション管理人であると回答したモニター
調査元/株式会社建装(https://kensou110.jp/)
モニター提供/ゼネラルリサーチ

今回の調査結果では、大規模修繕の懸念点が大きなポイントになっていることがわかった。記者も過去に分譲マンションに住んでいたが、建物自体が古かったせいもあり、大規模修繕中は外壁まわりに長期間にわたって足場が組まれ、その間は洗濯など通常の生活に大きな支障があったことを思い出した。またその際の施工業社名や工事期間は直前になってエントランスの貼り紙で知らされる程度で、実際にかかる費用についても居住者の代表が務める理事会が承認したあとで報告があるというお粗末なもの。おそらく莫大な金額が動いていたと思われるが、ここまで大掛かりにしなくても、常日頃から修繕が必要な場所をピンポイントで工事すればもっと短期間で安上がりなのではと、そのマンションの居住者のほとんどが感じていたそうだ。例えばエレベーターの点検修理は数か月ごとに行われることが多いが、それに対して不満を持つ居住者は皆無なはず。これと同様の感覚で日頃からピンポイントの修繕をすれば、居住者からの不満がなく、予算的にも余裕を持って修繕にあたれるのではないだろうか。

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