EY Japanが女性アスリートのビジネス進出を支援!セカンドキャリア構築支援プログラム「WABNアカデミー」第3期閉講式を開催
- 2024/4/27
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ビジネス分野への進出やリーダーシップスキル向上に意欲的な女性アスリートを対象としたプログラム「WABNアカデミー」を2021年から実施しているEY Japanが4月12日、EY Japan本社にて第3期閉講式を開催した。
「WABN」とは「Women Athletes Business Network」の略称で、WABNアカデミーではアスリートの世界で研鑽を積んできた女性たちがビジネス界へのキャリア転換を目指し、プロフェッショナルによるセッションや1on1メンタリング、グループワークなど、6カ月間にもおよぶ実践的なプログラムを通じて、ビジネスシーンで求められるスキルを学んできた。そして2023年10月に開講した「第3期 WABNアカデミー」の集大成ともいえる閉講式は、女性アスリートによる3組のチームが作り上げた“ビジネスプラン”を発表する会となった。
ビジネスをやる上では“夢”を持つことが重要
閉講式の冒頭に登場した、EY Japan WABNリーダーの佐々木ジャネルさん。自身も10年以上の体操競技の経験がある佐々木さんは、スポーツで学んだ経験とビジネスの世界で得られるものには共通点があると強調し、「WABNとの繋がりは一生の財産。会期中で得た知識や学び、発見を活かして、新しい挑戦やコラボレーションに取り組んでほしい」と3期生の女性アスリートの背中を後押しした。
続いて登壇したのは、EY Japanに所属するパラスポーツ選手の富田宇宙さん。社会人として働くなかで「アスリートならではの感性や力に、大きなポテンシャルを感じている」と語り、「新しいスポーツに挑む気持ちで、ビジネスにも取り組む気概を大事にしてほしい」と3期生を激励し、さらにはビジネスをやる上での“夢”を持つことの重要性についても触れ、自分の活動がどのように社会へ役立つのかを考えていくことが原動力になるとアドバイスを贈った。
アスリートで培った経験や知識を子供たちに共有したい
「アスリートと DE&I」によるパネルディスカッションに続き、WABNアカデミー3期生によるグループワークの最終発表が行われた。まず最初に発表したのは、坪内萌花さん、廣瀬花子さん、横尾千里さんの3人のメンバーから成る「TeamC」。テーマは〈Share Your Experience〉。同チームは「アスリートとして目標を掲げ、結果を残してきたこと。そして、長く夢中になって競技を続けてきた面白さや楽しさを多くの人に知ってもらいたい」という思いから、“未来のある子供たちに、アスリートで培った経験や知識を共有していくこと”を考えたという。
アスリートが夢や目標に向かって頑張っていく過程で、やる気や自信が持てたり、自分の考えやコミュニティの大切さに気づけたりしたように、柔軟な吸収力を持った子供たちに、新たな発見につながる体験を提供したい。そんなビジョンを根底に考えたのが、小学生の子供たちに向けたスポーツ体験会。立ち上げ当初は1回の参加費を500円ほどの参加しやすい価格にしたり、ビジネスの思いに共感してくれるスポンサー企業を募って補助金を集め、必要経費に充てていくことを考えているという。
スポーツ体験会の開催回数を重ねながら徐々に各種アスリートやスペシャリストの講師によるコンテンツを充実させたり、実施地域の拡大を視野に入れていると将来的な展望を述べ、プレゼンを締め括った。
グループワークの講評を務めたのはEY Japan チーフ・ブランディング・オフィサーの榎本 亮さんは、プライシング(価格戦略)はもっと高い方がいいと前置きした上で、「事業で得られたノウハウやイベント開催の知見を、FCモデルとして展開していくと面白いのでは」とコメントした。
「Or」ではなく「And」に。女性アスリートのウェルビーイングを考える
続いての発表は竹村 幸さん、土屋美咲さん、丸茂 圭衣さんの3人のメンバーから成る「TeamB」。テーマは〈女性アスリートのウェルビーイングを実現するマッチングアプリ〉。選手時代に悩んだことや困ったことを共有し、そこから「女性アスリートのウェルビーイングのために何ができるか」を切り開いていったという同チームは、競技とライフイベントの両立の難しさに着目。
男性アスリートよりも女性アスリートの方が体の変化があることや、結婚・出産といったライフイベントを意識すると、競技に集中できなくなるという課題が浮き彫りになったなかで、TeamBがミッションに掲げたのが「Or」ではなく「And」に変えていくこと。競技を取るか、結婚を追い求めるのかではなく、そこをうまく両立していける仕組みを作っていくことが大事なのではという考えに至ったという。
友人である日本代表レベルの女性アスリート30名にアンケート調査したところ、「現役中にもパートナーが欲しいと感じている」と答えた人は、なんと約9割。そんなアスリートの恋愛事情が見えてきたなかで事業プランに行き着いたのが、マッチングアプリ「スポ恋」だった。
アスリートの身バレを防ぐため、当面の間は心理的安全性が担保されたサービスとして提供していくそうだが、アスリートに限定すると市場が小さくなることから「スポーツ好きのためのマッチングアプリ」という形で事業化したいという。サービス設計の肝となる身バレ防止やトラブル防止には、結婚相談所から「入会時の身元証明書や収入証明書、独身証明書といった書類を提出することが重要だ」とアドバイスされたそう。また事業展開については、スポーツ団体との連携や会社の福利厚生などを狙っていきながら、「初デートはスポーツ観戦」などのシチュエーションを作ることで、共通の話題で盛り上がれるような工夫をしていきたいと展望を語った。
TeamBの発表後の講評について、榎本さんは「すごくマーケティングのアプローチとして正攻法で取り組んでいるのは好評価だった。マッチング部分でAIを活用する部分については、他社とアライアンスを組むのも一手だと思う」と意見を述べた。
“スポーツ版キッザニア”で子供たちの生きる力を育む
最後の発表はTeamA。テーマは〈スポーツと子供の関係性から考えた「スポーツ版キッザニア」〉だ。同チームが着目したのは、コロナで学校に行けない日々が続き、体を動かす機会が減ったり、マスクをしていてクラスメイトの顔がわからなかったりと、人との関わりや協調性、生きる力が低下しているという社会問題だった。また同時に、親が子供にスポーツを習わせたいと思っても、何が子供に向いているのかがわからないという意見にも目を向けた。
子供を持つ親にアンケートを取ったところ、「ひとつの場所でたくさんのスポーツができる環境があれば参加したい」という回答が多く得られた。そんな要望に応えたスポーツ版キッザニアは、子供たちにスポーツ体験の場を提供するという事業プランだ。対象は小学生で、3種目40分ずつの体験で1人2000円。月に1回の開催で、年間のサブスクリプション契約とイベントの趣旨に賛同する企業からのスポンサー費用を考えている。
「目標に向かって努力する大切さは、好きなスポーツに巡り合えたから」
そう語るTeamAのメンバーは、こうしたスポーツ体験の場を提供することで、自発的に子供たちがスポーツに取り組み、楽しみながら生きる力を育めるサービスを目指したいという。
TeamAの発表を受け、審査員の榎本さんは「プライシングの部分はもっと単価を上げたほうがいいと思ったが、保険料というビジネスのリスクに焦点をあてているのは良いと感じた。さらに発展性を考えるなら、体を動かすスポーツだけではなく、eスポーツなども取り入れると参加者も増えるのではないか」とアドバイスした。
会場にはアスリートからビジネス界への転換に向け、アスリートとともに6カ月間を共にしたEY Japanのメンター(講師)や、第一期生、第二期生、グローバル版のWABNプログラム修了生も参加。お互いにビジネスにおいて重要となるコミュニケーションを深め合うとともに、会場は熱気に包まれたまま幕を閉じた。