女性特有の健康課題、理解促進に必要なこととは?「100年生活者研究所」が男女別に意識調査を実施
- 2024/3/6
- ライフスタイル
毎年3月8日は「国際女性デー」。女性が働きやすい社会を実現するためには、生理や更年期症状といった女性特有の健康課題への十分な理解が重要だ。そこで今回、株式会社Hakuhodo DY Matrixのシンクタンク「100年生活者研究所」は、女性と男性それぞれの視点から、こうした健康課題の理解促進に何が必要かを調べるため、20~80代の男女728名を対象に人生100年時代における幸福と女性特有の健康課題に関する意識調査を実施した。その結果、自身の不調を家族や同僚、専門家に打ち明けた女性は、一人で我慢している人よりも幸福度が高いことがわかった。また、男性の8割以上が理解する努力をしているものの、半数以上が「サポートが裏目に出そうで怖い」「本人に話しかけるのは気が引ける」と回答。「100年生活者研究所」はこの結果を受け、周囲が理解をしようとする姿勢に対し、女性が感謝を伝えることにより、男性の不安解消や周囲からのサポートにつながるのではと考察した。
【100年生活者調査~女性の健康課題編~】結果詳細
Q1.女性特有の健康課題や不調を感じたとき、自身で取った行動とは?(現在・過去に不調を経験した女性267名対象)
―4割が周囲に話したと回答する一方、3割は他人に話さず一人で我慢している
これまでに不調を経験したことがある女性を対象に、健康課題や不調を感じた際に取った行動について聞いたところ、「パートナーや家族、恋人、友人、職場の上司や同僚など周りに話した」が40.8%で最も高い結果となった。一方、31.1%が「他人に話さず、一人で我慢した」と答え、周囲に共有できていない現状も判明した。
Q2.あなたは全体として、どの程度幸せ?「とても不幸せ」を0点、「とても幸せ」を10点で点数化(現在・過去に不調を経験した女性267名対象)
―家族や同僚、専門家に話した人は、一人で我慢している人よりも幸福度が高い
Q1の回答者に幸福度(10点満点)を尋ね、高得点である8点以上の割合を比較。その結果、「パートナーや家族、恋人、友人、職場の上司や同僚など周りに話した」人は62.4%、「医師等専門家に相談した」人は44.0%だった。周囲に話した人は「他人に話さず、一人で我慢した」人の19.3%と比べて、高得点の割合がそれぞれ3.2倍、2.5倍高かった。
Q3.女性特有の健康課題や不調に関して、社会や男性の理解はどの程度進んでいると思うか(男女728名対象)
―女性特有の健康課題や不調の理解認識に男女でギャップがある
男女別に女性特有の健康課題や不調に関して理解が進んでいるかを質問し、「理解が進んでいる」と回答した割合を比較。男性は「社会全体の理解」が44.0%(女性より5.8ポイント高い)、「職場やアルバイト先の理解」が47.8%(女性より9.3ポイント高い)、「男性の理解」が43.4%(女性より11.3ポイント高い)となり、理解認識に男女でギャップがあることがわかった。
Q4.女性特有の健康課題や不調に関する意見(男女728名対象)
―男女ともに8割以上が理解する姿勢は重要だと回答するも、男性の特徴的な意見として「サポートが裏目に出そうで怖い」「本人に話すのは気が引ける」などが挙がった
女性特有の健康課題や不調に関する意見を聞いたところ、男女ともに高かったものとして「パートナーや友人、同僚等が不調になったときに自分でできるサポートはしたいと思う」(女性90.7%、男性83.8%)など4項目が挙がった。男性の方が女性よりも5ポイント以上高い項目に着目すると、「よかれと思ってサポートとしてやったことが、裏目にでてしまいそうで怖い」(男性が7.9ポイント高い)、「不調がある本人に話したりするのは気が引ける」(男性が6.6ポイント高い)。このことから男性は、女性の不調に理解する努力をしているものの、「行おうとしているサポートが本当に正しいのか分からない」という不安を抱いていることがわかった。
Q5.女性特有の健康課題や不調について、家族や友人、企業や社会の理解促進のために何が必要か(女性364名、男性364名対象)
―女性は「周囲に感謝を示すこと」、男性は「男性、社会全体で理解を示す態度」が必要と回答
女性特有の健康課題や不調への理解促進に向けて必要なことについて男女別で質問し、「とてもそう思う」と答えた割合を項目別に比較。その結果、女性は「パートナーや同僚等、周りが不調に関する理解を示したら、本人も感謝を示すこと」が42.3%と最多で、「女性だけでなく男性、社会全体で理解を示す態度」の41.8%、「女性の健康課題に関する正しい情報発信」の41.5%と続いた。一方、男性は「女性だけでなく男性、社会全体で理解を示す態度」の36.5%が最も多く、次いで「気軽に相談できるかかりつけ医や専門家へのアクセス」が34.9%、「パートナーや友人、同僚等、周りができる限りのサポートを行うこと」が34.3%となった。
【100年生活者調査~女性の健康課題編~】概要
調査目的:人生100年時代における幸福と女性の健康課題に関する意識調査
調査手法:インターネットモニター調査
調査期間:2024年1月
調査対象者:20~80代の男女728名
この調査結果に関して、100年生活者研究所研究員の安並まりや氏は以下のようにコメントしている。
初潮から閉経まで女性はライフステージに伴って様々な健康課題や不調が付きまとい、それらは一人で我慢してやり過ごす「閉じた」課題とみられてきました。女性の社会参画が当たり前となった現代においては、生理痛やPMS(月経前症候群)が企業の経営課題や社会課題の一つとして認識されつつあると感じています。実際、本調査では男性の8割以上が理解・サポートしたいと答えており、「無関心」から「関心」へと移行していることがわかります。一方で、男性は「自分のサポートが正しいのか」「自分からは話題にしにくい」という悩みを抱えています。これを解消するためには理解しようとしている周囲の姿勢に対して、女性も積極的に感謝を伝えることが大切ではないでしょうか。感謝の言葉があることで男性も安心してサポートしやすくなり、より女性が活躍するための環境整備・空気感の醸成がなされていくと思います。
人生100年時代では、男女ともに「開けた」課題という意識を持ち続けることにより、理解促進の近道になるはずです。今も一人で我慢している女性は3割います。国際女性デーを、パートナーや同僚などの周囲と話し合うきっかけにしてみてはいかがでしょうか。
今回の調査結果で筆者が興味深かったことは、女性の健康課題の理解促進のために必要なこととして、女性自身は「周りが理解を示したら感謝すること」という回答が一番多かったことだ。というのも、女性自身は周りからの理解を当たり前として捉えておらず、社会全体の理解以前に一対一個人からの理解の重要性を感じているのではないかと思うからだ。身近な人が理解を示し必要なサポートをしてくれることで、女性は一人で我慢せずに安心して過ごすことができるだろう。それに対し女性が感謝を示すことで相互理解はより深まりコミュニケーションも活発化する。そんな個人間の理解が増えていくことで、やがては社会全体の理解というものに繋がっていくのではないだろうか。
〈Hakuhodo DY Matrixについて〉
Hakuhodo DY Matrixは、「The well-being company」として人々の幸福と健康の増進に役立てることを目指し、博報堂DYホールディングスのグループ会社として2021年4月に創業。「100年生活者を見つめ、人生を通してWell-beingであり続けられる理想社会の実現に貢献する」というミッションの下、シンクタンクである100年生活者研究所を通して、人生100年時代の幸せをテーマにした調査リリースを発信・提案している。
研究所HP:https://well-being-matrix.com/100years_lab/