【終活×デジタル化の課題調査】終活関連業務に関わる自治体関係者の約85%が現状の終活サポートには課題があると回答

総務省統計局が発表した報告書によると、2022年9月、日本の総人口は前年に比べて82万人も減少している一方で、「高齢者(65歳以上)」の人口は6万人増加して過去最多となったそうだ。つまり、総人口のうち10人に3人(29.1%)が高齢者。また2040年には、それが35.3%になると見込まれているという。

このような時代背景から、今や見回り支援や葬儀の相談といった「終活サポート」を行う自治体も現れてきた。神奈川県の横須賀市や大和市、綾瀬市、千葉県や愛知県、兵庫県など、まだまだ限られた一部の自治体だけではあるが、世の中の現実に向き合ったその姿勢には好感が持てる。だが実際には、終活サポートを受けるための条件が厳しかったり、サービス内容が自治体によってまちまちだったりと、現状では統一されていないようだ。孤独死に繋がりやすい単身世帯の高齢者の今後の増加は間違いなく、各自治体による終活サポートの拡充は急務と言える。

そこで今回、大切な人へ事前に登録したメッセージを届ける終活支援サービス「コトダマ」を運営する株式会社CONNECTは、各自治体の終活関連業務に携わる人(相続・福祉・介護・医療など)を対象に「終活×デジタル化の課題」に関する調査を実施した。

<調査結果詳細>

Q1. 現在、自治体ではどのような終活サポートを行なっていますか?(複数回答可)

『安否確認(見守り支援)(48.2%)』という回答が最も多く、次いで『介護や医療、福祉に関する相談やサービス(46.5%)』『関係先への連絡(41.9%)』『遺品や資産に関する相談(22.1%)』『葬儀の相談(13.0%)』と続いた。

具体的には、下記のような終活に関わる問い合わせがあることもわかった。

・お墓の選定(30代/男性/京都府)
・最近は独り身が増えてきており、亡くなった後の資産相続についての相談(40代/男性/香川県)
・相続やデイサービス等の介護、福祉に関する問い合わせ(40代/男性/三重県)
・遺品整理(50代/男性/広島県)


Q2. 自治体の終活サポートに関する課題は?

「現在、自治体で行っている終活サポートに関して、どのくらい課題があると感じていますか?」という質問に対し、『とても大きな課題があると感じている(38.0%)』『やや課題があると感じている(47.8%)』と約85%が、自治体で行う終活サポートには課題があると回答した。

そして「特に課題が大きいと感じるのは、どのような内容ですか?(上位3つまで)」という質問に対しては、『職員の数(51.6%)』が最も多く、次いで『業務への負担(50.9%)』『経費(40.7%)』『サポートの種類(豊富さ)(31.1%)』『サービスの充実(22.7%)』と続き、自治体の終活サポート部門は職員の数が足りず、一人ひとりの負担が大きいことが明らかになった。自治体としても、職員の数を一気に増員するのは難しいのは当然のこと。そのため、できるだけ業務を効率化して職員の負担を減らすことが急務と言えそうだ。一般的に業務効率化にはペーパーレス化が効率的と言われるが、終活サポート部門のデジタル化は一体どの程度進んでいるのだろうか。

Q3. 終活サポートに関してデジタル化が進んでいると思いますか?

『まったく進んでいるとは感じない(16.3%)』『あまり進んでいるとは感じない(40.9%)』と自治体の終活サポート業務に関わるおよそ6割の人が、デジタル化が進んでいないと感じていることが明らかになった。予想以上にデジタル化が進んでいないことで、業務に支障をきたすことはないのだろうか? その疑問について問うと、

・終活人口が増えるなかでのデータ管理(40代/男性/三重県)
・紙面での資料の為、調べる・追加する・変更するなどに時間がかかること(40代/男性/埼玉県)
・書類の手続きが大変。早くデジタルになって欲しい(50代/男性/大阪府)
・マニュアル化やパターン化が進んでいないので都度手作業になる(50代/男性/富山県)

といった具合の、書類が紙であることの弊害が多く寄せられた。必要な書類がどこにあるのかといった検索や情報の共有・更新に時間がかかることは容易に想像できる。ここまでのアンケート結果で、デジタル化が進まないことで業務が煩雑になり効率化が進まない自治体が多いことが浮き彫りになった。では、終活サポート業務にデジタル化を導入するのは難しいのだろうか。

Q4. 終活サポートへのデジタル化導入は難しいのか?

「終活サポートにデジタル化を取り入れるのは難しいと感じますか?」という質問に、『とてもそう思う(20.5%)』『ある程度そう思う(54.5%)』と終活サポート業務に携わる75%の人が、デジタル化の導入は難しいと回答した。

そして「難しい理由として当てはまると思うものを教えてください(複数回答可)」との質問には、『高齢者がデジタル化に対応できないため(58.4%)』という回答が最も多く、次いで『職員が新しいシステムに対応できないため(33.1%)』『システムを導入するための費用がかかるため(31.4%)』『ペーパー業務に慣れてしまっているため(25.9%)』『終活サポート業務は対面業務が多いため(20.8%)』と続いた。

デジタル化の必要性は理解しているものの、高齢者がデジタル化に対応できないため現場での導入は困難だと感じている人が多いようだ。また3割超がコストを問題にしているが、どの程度の予算があれば終活サポートのデジタル化が実現できると考えているのだろうか。

Q5. 終活サポートのデジタルかに向け外部の終活サービスを利用する場合、どのくらいの年間予算であれば検討できますか?

『費用が掛かるなら利用しない(21.1%)』との回答が最も多く、次いで『50万円以上150万円未満(20.4%)』『150万円以上250万円未満(19.5%)』『250万円以上500万円未満(15.5%)』『50万円未満(13.6%)』と続いた。外部サービスの導入には費用がかかることから二の足を踏む自治体が多いかもしれないが、一方で『費用が出せる』と回答している自治体は合計して8割近くいることから、終活サポートのデジタル化を求める人は多いことが予想できる結果となった。では終活サポート業務の中で、デジタル化すれば効率化が進むと彼らが思うものとはなんだろうか。

・デジタル化が進めば書類保管が不要になり、調べる時間も短縮できる(50代/男性/山形県)
・相談業務の予約制、アフターフォローの充実(50代/男性/大阪府)
・エンディングノートを初めとして、ほとんどの行程が削減されて効率化が図れる(50代/男性/埼玉県)
・相続に関わる書面類をデジタル保存できれば当事者死亡後の手続きが円滑になり、担当職員の工数削減が実現するのではないか(50代/男性/東京都)

このように、デジタル化すれば幅広い業務で効率化が図れ、工数が減る可能性が高いという回答が多く寄せられた。業務が円滑に行われることにより、職員の負担の軽減、費用削減などにつながるだろう。

調査概要:「終活×デジタル化の課題」に関する調査
【調査期間】2023年8月16日(水)〜2023年8月17日(木)
【調査方法】リンクアンドパートナーズが提供する調査PR「RRP」によるインターネット調査
【調査対象】調査回答時に 各自治体の終活関連業務に携わる方(相続・福祉・介護・医療など) と回答したモニター
【調査人数】1,019人
【モニター提供元】ゼネラルリサーチ

終活サポート業務の課題や、それに伴うデジタル化の必要性が今回の調査で明らかになった。アンケート回答者の約85%が自治体で行う終活サポートには課題があると回答しており、具体的には職員の数と業務の負担を課題に多く挙げていた。また、自治体の終活サポート業務に関わるおよそ6割の人がデジタル化が進んでいないと感じ、さらにその約7割がデジタル化の導入は難しいと実感しているという結果も出た。

一方で、デジタル化すれば幅広い業務で効率化が図れ、工数が減る可能性が高いというコメントも多く寄せられていることから、デジタル化によって業務が円滑に行われることで、職員の負担軽減や費用削減などにつながる可能性は高いと言えるかもしれない。

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