人生100年時代の幸福と世代間交流の関係を調査 世代間交流を持つ人は長生きへの意欲高い傾向に

少子高齢化が進む中、核家族化や社会的背景により高齢者と若年者の“世代間交流”の機会は少なくなっている。株式会社 Hakuhodo DY Matrixのシンクタンク「100年生活者研究所」が今年2月に行った調査では、「敬老の日」に祖父母・両親やシニアの方に対して、「特に何もしていない」と回答した人が72%に上り、世代間のつながりが希薄になっていることがうかがえた。
そこで、100年生活者研究所は世代間交流が人生100年時代の幸せにどのように影響するのか調査。20~80代の男女728名を対象に、人生100年時代における幸福度と世代間交流の関係性を明らかにする意識調査を実施した。その結果、家族・親戚・職場以外で年齢が10歳以上離れた人との交流を「世代間コネクト」と定義すると、世代間コネクトを持つ人は約半数で、趣味で出会う傾向にあった。また、同研究所設立時の調査で、100歳まで生きたいと考えている人が3割だったことを踏まえ、「100歳まで生きたい」という気持ちへの影響を調べたところ、世代間コネクトを持つ人は、持たない人より1割以上「100 歳まで生きたい」気持ちが高いことがわかった。

<調査結果詳細>

Q1.あなたは普段、世代が離れた人と交流をしていますか?(家族・親戚・職場の人を除く)

この質問で世代間コネクトを持つ人の割合を調べた。ここでは高齢者で10歳以上年下の人と交流があることを「年下コネクト」、20~64歳で10歳以上年上の人と交流があることを「年上コネクト」と定義して分類。その割合を比較した結果、年下コネクトを持つ人は46%、年上コネクトを持つ人は49%となり、それぞれ約5割という結果だった。

Q2.世代が離れた人との交流の良い点について、あてはまるものを全て選んでください

Q1で「交流がある」と回答した人に対して、交流の良い点について質問をしたところ、年下コネクトは「交流を通して、新しい気づき・価値観を得られる」が61%と最多。年上コネクトは「交流を通して、新しい気づき・価値観を得られる」「同世代では分からないことを教えてくれる」がともに54%となり、最も多い結果となった。

Q3.すでに交流がある、世代が離れた人とはどのように出会いましたか?出会いのきっかけについて、できるだけ具体的に答えてください(自由回答)

世代が離れた人と出会ったきっかけを自由回答で尋ね、分析ツールを使用して回答の中から出現率の高い単語を抽出。出会いのきっかけは複数あるものの、年下コネクト、年上コネクトともに共通の話題となる「趣味」が多い傾向。

<自由回答、一部抜粋>
▼年下コネクト
・スローエアロビクスのサークル(女性、70代)
・趣味のボウリングおよび卓球を通じて出会った(男性、80代)

▼年上コネクト
・ソーシャルメディアで趣味の話をしている中でつながっていった(女性、20代)
・お互い動画配信アプリのリスナーとして出会った(男性、30代)

Q4.人生100年時代において、あなたは100歳まで生きたいと思いますか?

100 歳まで生きたい意向を尋ね、「世代間コネクト」を持っている人と、持っていない人の割合を比較。その結果、年下コネクトを持っている人は45%が「とてもそう思う」「ややそう思う」と回答し、持っていない人と比べて1.36倍高い結果に。年上コネクトも同様に、持っている人の方が1.6倍高い結果となった。

【100年生活者調査~世代間交流編~】概要
調査目的:人生100年時代の幸福と世代間交流の関係把握
調査手法:インターネットモニター調査
調査期間:2023年8月
調査対象者:20~80代の男女728名

年下コネクトを持つシニアインフルエンサーの大崎博子さんは次のようにコメント。

【大崎博子さん プロフィール】
1932年、茨城県出身。78歳で娘の勧めでパソコンを始め、やがてスマートフォンも使うように。2011年3月にX(旧 Twitter)アカウントを開設し、等身大の日々の投稿が幅広い世代の共感を呼び、フォロワーは20万人超(2023年8月現在)。

デジタルツールを使えると共有の話題で盛り上がれるので、年下の方とつながりができます。私自身、スポーツが好きでバスケットボールや相撲、野球など色々なものを見ていますが、それが年下の人と交流するきっかけになっています。例えば高校野球で、ある学校を応援する投稿をX(旧 Twitter)にすると、「私の出身校。応援ありがとう」というお返事が来ます。誰でも一歳ずつ年をとるもの。新しいことに「できない」「分からない」というのは当然。ちょっとずつ慣れながら、色々なことに挑戦していく気持ちが大切です。

また、100年生活者研究員研究員 白岩莉子さんは、本調査結果について次のように考察する。

100年生活者研究員研究員 白岩莉子さん

本調査により、10歳以上年下の人と交流している高齢者は、人生100年時代を前向きに捉えていることが分かりました。自由回答では「色々な事や考え方を知ることができる」(女性、80代)との声が上がっており、世代間交流によって新たな楽しみや気づきを得ることができ、日常の刺激になっているようです。では、年上の人と交流している側はどう受け止めているのでしょうか。10 歳以上年上と交流がある 20~64歳の男女にも質問したところ、自由回答で「経験も豊富で的確なアドバイスがもらいやすく問題解決につながる」(女性、20代)という意見があり、人生の先輩として頼りにしていることがうかがえます。シニア世代の中で、年下の人に迷惑にならないのかと不安に思う人は、相互に補いあう関係になることを意識すると良いかもしれません。趣味でお互いに教え合ったり、自身の人生経験が相手の悩み解決のヒントになったりするかもしれません。幅広い年代の人とのつながりは、人生を幸せにするヒントをもたらしてくれる可能性がありそうです。今年の敬老の日は、他の世代と交流する一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

世代間交流により、互いに新しい気づきや価値観、刺激が得られるのはもちろん、何かを教えたり誰かに必要とされたりすることで社会的なつながりを感じ、幸福感を高めるのではないだろうか。世代の垣根を越えた関係性を築き、人生を楽しんでいきたいものだ。

■Hakuhodo DY Matrixについて
Hakuhodo DY Matrixは、「The well-being company」として人々の幸福と健康の増進に役立てることを目指し、博報堂DYホールディングスのグループ会社として2021年4月に創業。「100年生活者を見つめ、人生を通してWell-beingであり続けられる理想社会の実現に貢献する」というミッションの下、シンクタンクである100年生活者研究所を通して、人生100年時代の幸せをテーマにした調査リリースを発信・提案している。

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